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浮気事例:夫からのDVと浮気の前兆
医者の夫とのすれ違い生活が続いて…
大学の医学部で同級生だった夫と結婚して5年。都内の大学病院で勤務医として働きながら、私は4歳の娘の子育てと両立させ、毎日バタバタと過ごしていました。
夫は都内の総合病院で働く医師でした。私としては夫婦として仕事にも理解があって、お互いにサポートをしながらというのが、理想だったんですが、現実はそんなにうまくはいきませんでした。
幸い、私の実家の近くに住んでいたので、母にサポートしてもらいながら、仕事は続けています。でも子どもができてからは、「日々の生活はなんだかシングルマザーのようだな〜」と思う日々です。
医師という職業柄、勤務時間も不規則です。夫は学会や当直などを理由に家を空けがちで、家事にも育児にも非協力的。連絡が取れない時も「忙しかった」と言うだけです。
そのため家でお互いに顔を合わせる時間が少なくなり、夕食もほとんど一緒に取れず、最近は仕事のストレスもあってか顔を合わせば些細なことで口論ばかりしています。
「お前が家の事をするのは当たり前だろ」
「子どもはお前が見るのが当たり前だろ」
「おれのキャリアのためにお前がちょっとぐらいは我慢しろよ」
こうした夫の言葉に対して、私が少しでも反抗するようなことを言うと、すぐ感情的になって物に当たるだけでなく、時には私に対して手を上げる事もありました。
「私だって忙しいのに。同じ職業なんだからそれくらい分かるじゃない。家事も育児も全部私にやらせて。自分はそうやって言い訳して逃げてるだけなんだから! なんでそんなに偉そうな事ばかり言えるのか。本当に腹が立つ!」
子どもがいる以上、仕事をセーブしなくてはいけないもどかしさも感じてしまい、夫とこのまま結婚生活を送る事に対して疑問を感じ始めていました。
「なんで夫は家庭を顧みず、思い切り仕事に打ち込んでいるのに、私にはやらせてくれないの? 私だって医者としてのキャリアを大事にしたい」
携帯を肌身離さず持ち歩くようになった夫
相変わらず、夫とはすれ違い生活が続いていましたが、たまたま夫と休みが重なる日が続いたことがありました。その時、夫がトイレに行くにも、お風呂に入るのにもケータイをずっと肌身離さず持ち歩いていることに気付いたんです。
私が「なんでそんなにケータイを気にしてるの?」と聞いても、「緊急の電話がいつかかってくるか分からないからに決まってるだろ。」としか言いませんでした。
「まあ、分かるけど。そんな風にいつも持ち歩いていたっけ?」
「なんだか不自然だな」と思いながら、その時は私もケータイは常に目につくところに置いていたし、それ以上の追求はしませんでした。
しかし、以前はケータイにロックもかけていなかったのに、いつのまにかロックをかけるようになっているし、深夜にしきりにメールのやりとりをしている夫の様子が目につくようになったんです。
そういった夫の行動に気付くたびに、「あれ、ロックするようになったんだ」や「こんなに遅い時間に病院からメール?」とか尋ねても、なんとなく、適当にはぐらかされてばかりでした。
ある日、家族で夕食を食べているタイミングで夫のケータイに着信がありました。
「病院からじゃない? 緊急の呼び出しかも」
私がすぐに電話を取るように促しても、夫は着信の番号をチラッと見て
「いや、今は大丈夫。後でかけ直すよ」
とケータイをそのままポケットにしまったのです。
「いつもなら、どんな着信でもその場ですぐ取るのに。なんか変なの」
今思い返せば、この頃から夫の様子は少しずつ不自然になっていったような気がします。その直後、これらの夫の不自然な行動の理由が分かる出来事が起きたのです・・・。
友人が偶然見かけた、怪しい夫の行動

友人からの思わぬ言葉
ケータイのこともありましたが、夫はいつにもまして帰らない日が続いていました。
「なんだか、最近の夫の様子がおかしいな??」
私はこう思いながらも、仕事や育児などで慌ただしく、夫の不自然な言動のことはそのうちにあまり気にならなくなっていました。
[まあ、夫の様子がおかしいのは今にはじまったことじゃないか。前もなんだか急によそよそしくなった時もあったしね。別に私の生活に影響が出なければいいか]
こんな風に思って、むしろ結構楽観的に過ごしていたんです。
そんなある日、医学部時代の同級生が私の勤める病院に研修でやってくることになりました。そして彼女から、「ランチでもどう?」と誘われたので、久しぶりに会うことになりました。
彼女は私と夫の同級生ということだけでなく、別の科ですが、夫と同じ病院に勤めています。彼女の夫も医師でした。私と彼女は境遇が似ていることもあり、家族ぐるみで付き合いのある仲だったのです。
サバサバしていて、いつも明るい彼女はとても私にとってとても仲のよい友人でした。彼女になら夫に対する不満や愚痴も含めて何でも話せました。そして数少ない相談相手でもありました。
さて、彼女と会った当日、私は「久しぶり〜」と顔を合わせたところ、彼女は私と目を合わせようとしませんでした。そして、ちょっと動揺しているようなそぶりを見せました。その様子は私の知っているいつもの彼女とは違っていました。私はその様子に違和感を覚えました。
「どうしたのかな?」
こう思いながらも、お互いに当たり障りのない近況報告を終えたところで、
「何か今日様子変だよ〜、なんかあった?大丈夫?」
と尋ねてみました。すると、彼女の口からびっくりするような答えが返ってきたのです。
病院外で看護師と2人で歩いていたという夫
「あのね、言っていいのか本当に迷ったんだけど、でもやっぱりなんだか変な予感がしちゃって」
と、気まずそうに少しずつ話し始めた彼女を、私はポカーンとした顔で見ていました。
「この間、病院の隣の駅でね、偶然りょうこの旦那とうちの病院の看護師が一緒にいるのを見かけたの。ただ、親睦を深めるためってしょっちゅう医師と看護師の飲み会もあるじゃない? だから何とも言えないんだけど…」
私は言葉を選びながらその時の光景を話す彼女を見つめながら、話を聞いていました。
「りょうこ、メールで最近、旦那の様子が変だって言ってたじゃない? だからもしかしてって思って。でも、全く確証もないし、ただ見かけただけなんだけどね」
彼女はあくまでも最後まで言葉を濁していたものの、 “女の勘”っていうものなのか、私は夫の最近の言動を「おかしいな?」と思っていた違和感から、妙に納得してしまうところがありました。
「夫が浮気しているかも?」という疑惑は付き合っている頃から今まで何度もあったし、結婚してすぐの頃などは感情的になって問い詰めて、夫とは数えきれないほどけんかをしました。でも今となってはそのころほどのエネルギーはありません。
「たとえ看護師と2人っきりだったとしても仕事の相談とかさ、まあよくあることじゃないのかな。別に浮気とかそういうことではないと思うんだよね。本人にもタイミングを見てそれとなく聞いてみるよ」
友人には笑ってその場はなんとか収めましたが、もし夫が浮気をしていたとしたら、正直なところ決して気分が良いものでありませんでした。そして
「他の女と会う時間があるなら、その代わりに家事でも子どもの世話でもやってくれたらいいのに。自分ばっかりそうやって、浮気する余裕があっていいわよね!」
と、怒りがふつふつと湧き始めました。それから不安の日々が始まっていったんです・・・。
あからさまな夫の行動の変化と心境の変化

夫の浮気を本格的に疑い始めて
友人の目撃談を聞いてからというもの、私は夫の行動が気になるようになってしまっていました。
そして、たまに家族3人で過ごす時間があっても、しきりにケータイを気にしていたり、そそくさと別室に移動したりして電話に対応する夫の姿を白々しく見ていました。
「浮気するならうまく隠せばいいのに。怪しいってバレバレじゃない」
そのうちに私は心の中で夫が浮気しているというのを半ば確信しているように思い始めたのです。
そもそも、医者という職業は一般的には堅い職業と思われがちです。でも実は同じ病院内で浮気とか不倫とか男女のドロドロとした関係が結構あったりします。例えば、看護師や製薬会社の営業、身近な女性と浮気しちゃうことは多いのです。
「医者」というステータスだけで女性にちやほやされたりすることもありますが、職場環境も勤務時間も不規則で、周りには女性はいくらでもいます。やろうと思えばいつでも浮気できる環境なのです。
私も病院内での浮気が原因で離婚している夫婦は実際に何組も見てきました。それと同じくらい、医者の夫の浮気に涙を流しながら黙認し続ける奥さんたちもたくさん見てきました。
「夫の浮気は遊びと割り切って、外でストレス発散してきてくれるなら、それはそれでいいのかな。また家で爆発されて私に当たられても辛いし」
私の中には夫の浮気に対しては黙認する気持ちも少なからずありました。
一方で夫が自分勝手な振る舞いばかり続けているのにもかかわらず、それを寛大な気持ちで受け止め、家族としての関係を継続していくことに意味はあるのかという疑問を抱くようになっていました。
「別に夫がいなくても娘と2人ぐらいなら、私の収入でやっていけるだろう。これ以上我慢しながら結婚生活を続ける意味ってあるんだろうか…」
自分自身の過去の浮気と心境の変化
実は私も2年前、夫との板挟みで悩んでいた時期に、相談に乗ってもらっていた流れで、職場の先輩と一晩だけ関係を持ってしまったことがありました。
そのころは夫からの風当たりが今以上に強く、ちょうど娘が2歳を迎えたばかりで、育児も大変な時期でした。その先輩とは本当に一度きりで、以降は職場でも必要以上に話さないなど、距離を置くようにしています。
魔が差した、といえばそれまでなのですが、一夜かぎりとはいえ、自分も浮気をしてしまったことに罪悪感があった私は
「私も一度でもそういうことを経験してしまった以上、単純に夫の不貞を責められない」
という感情も、心の中にくすぶり続けていました。
これまで、なぜ夫との結婚生活を続けてきたかというと、自分自身の妙なプライドの高さから、なかなか離婚に踏み切れなかったからです。
離婚は“バツイチ”ともいわれるように世間体が悪いように感じてしまうからであって、さらに“勝ち組”といわれることの多い自分の人生で“離婚”はどちらかというと失敗に当たるような気もしていました。それに、何も事情を知らない外野にあーだ、こーだと推測されるのも嫌でした。
「職場や親族の間であらぬ噂をたてられたり、好き勝手に言われたりするのは本当に許せない。本人同士の問題なのだから、ほっておいて欲しい!」
自分のいないところで、興味本位で妙な話を広められる事に対しての抵抗も大きかったんです。
しかし、今回の夫の浮気疑惑をきっかけに、徐々に考え方も変わってきて、娘さえいれば夫はいなくても大丈夫なんじゃないのかと思うようになりました。
“負け組”でもなんでもなく、離婚をきっかけにリスタートをきったほうが私の今後のキャリアのためにも良いような気がしてきたのです。
そんなある日、夫の浮気が分かる決定的な出来事が起きたのです・・・。
偶然見てしまった、夫の携帯に届いた怪しいメッセージ

珍しく酔って帰宅した夫のLINEを見てしまった私
もんもんとして日々を送っていたころ、夫が珍しく酔って深夜に帰ってきて、すぐに寝てしまった日があしました。
普段あまりお酒を飲まない夫が深夜に酔った様子で帰ってきたので、
「どうしたの? 仕事だと思って、食事を用意して待っていたのに」
と私は声をかけました。しかし、夫はどこかうわの空で
「今日は同期で飲み会だったんだ」
と言葉少なに返事をするだけでした。
「そういうときは早めに連絡くれる? あなたが早く帰る日だと思って夕食の準備をしていたんだから」
私が小言をいうと、煩わしそうに「わかった、わかった」と言い、早々に寝室に入っていってしまいました。
「本当に何様のつもりなの!? 遅くなる時は連絡してって再三言っているじゃない!」
夫の態度にイライラした私は、夫がケータイを放り投げたまま寝ていることに気付いたのです。ケータイはメッセージを受信したためか画面が何度か点灯していました。
「なんかチカチカすると思ったら、メッセージが来ているみたい」
普段は肌身離さず持ち歩いている、夫のケータイがベッドに無造作に置かれていたので、興味本位で画面を見てしまいました。すると…
「無事帰れたかな?♡」
「今日はありがとう〜♡ また明日会おうね♡」
「愛してるよ♡♡」
明らかに女性からと思われるLINEのメッセージがポップアップで画面に表示されていました。
「ふ〜ん、女と会っていたわけね…」
これまでも夫に女の陰があったとはいえ、こういったあからさまなやりとりを目の当たりにしたのは初めての事でした。同時に夫への気持ちがスーッと冷めていくのが自分でも分かりました。
「こうやって、こそこそ女と会っていたってことね。自分はいつまでたっても独身気分で、酔って帰ってきたと思ったら、私と話すこともなく寝てしまって。私のことを家政婦かなんかだと思ってるの!!」
私は内側からあふれ出す怒りでどうにかなってしまいそうでした。
「どのくらい相手と深い関係になっているのか」
「遊びなのか、本気なのか」、
「浮気相手の女性が誰なのか」
同時に私の中に浮気相手のことを詳しく知りたい気持ちが湧いてきました。そこで私はしばらく夫の様子を見ることにしました。
浮気の証拠集めをはじめることに
翌朝、何食わぬ顔で夫を送り出したものの、頭の中は昨晩の夫に来たLINEのメッセージのことで一杯でした。
どうやってこれから夫の浮気について調べていこうかと思った時、とりあえず、先日夫を病院外で女性といるところを見かけた友人に相手の看護師について聞いてみることにしました。
「昨日夫のLINEに女の人っぽい名前から怪しいメッセージが来てて……。このあいだ教えてくれた夫と一緒にいた看護師の名前って知ってる?」
こう尋ねましたが、友人は名前までは知りませんでした。彼女が知っている情報といえば、ただ同じ病院で見かける看護師だということだけでした。ただ、友人は私が浮気相手を調べることに協力してくれると言ってくれました。そこで彼女に病院内でいろいろと調べてもらうことをお願いしました。
「それにしても、これで夫が浮気しているのは間違いないから、すぐに離婚する。もし離婚なくても、今後何かあったときに私に有利になるように、ちゃんとした浮気の証拠をつかんでおきたい」
こう思った私はすぐに離婚するか、しないを決めるため、というよりも今後の保険として、今回の夫の浮気の証拠を集め始めたのです。それに、これまでいつも夫に抑圧されてきたので、一度は夫に頭を下げさせたいという気持ちもありました。
「そのためには、夫に適当にはぐらかされないような、確実な証拠が欲しい」
そう思った私は、仕事と育児でいっぱいな自分の力だけでは限界があるため、探偵事務所に調査を依頼することに決めたのです・・・。
探偵事務所に浮気調査を依頼することを決意

友人の紹介で探偵事務所に調査を依頼
夫の浮気を確信した私は、もしかすると今後、離婚となった時に備えて、転ばぬ先の杖として浮気の証拠を用意したいと考えました。そして夫の浮気調査を依頼するために探偵事務所を探し始めたのです。
「浮気相手から謝罪の言葉が欲しいし、もし、しらを切ったり、反省の様子がなければ慰謝料を請求してやりたい」
私はこう考えていました。
浮気をした夫はもちろん悪いけど、夫を既婚者と分かりながら関係を続けるのは同じ女として理解に苦しむし、もし、本当に夫の浮気相手が看護師だとしたら、「同じ医療従事者として病院内の風紀を乱すのは許せない!」という気持ちがあったからです。
看護師と医者の不倫ってよくあることだからこそ、そんなことに手を染めた夫が情けなくなりました。そして心の底から「かっこわるいな」と思ってしまったのです。
そうは思っても、調査は謝罪の言葉や慰謝料が目的ではなく、あくまでも夫が言い逃れできないような証拠を押さえたいというのが今回の目的でした。
仕事、家事、育児の合間を縫って自分に合う探偵事務所を探すのに難航しましたが、結局友人が紹介してくれた事務所にお願いすることにしました。
最初に電話で問い合わせをしてから、そのあと事務所に直接伺って現状を伝え、私が預かっている夫の勤務予定に従って、とりあえず1週間行動を追いかけてもらうことにしました。
恐らく、同じ病院に勤める女性が浮気相手だと思うという事も伝え、浮気の決定的な瞬間を抑えるだけでなく、その女性の素性も明らかにして欲しいということも併せてお願いしておきました。
夫の携帯に見知らぬ女からの着信が
私が夫の目を盗み、着々と浮気調査の準備進めている間も、何も知らない夫は相変わらずの生活を続けていました。
帰りが遅いことや、帰ってこない日があることは今までもありましたが、ケータイをいつも肌身離さず持ち歩き、寝る時は常に側に置いておくなど、とにかくケータイへの執着が常軌を逸していました。
ある日、夫がケータイをリビングに置いたまま、一瞬席を外したタイミングで着信があったのです。ディスプレイを見ると知らない女性の名前が表示されていました。
「もしかして、これって!?」
これも“女の勘”というものなのでしょうか。私は念のため、その名前をメモで残しておきました。そして夫が部屋に戻ってきた時
「今、携帯が鳴ってたよ。もしかしたら病院から緊急の電話かも。ハイ」
と何食わぬ顔で、ケータイを夫に渡しました。
夫は少し動揺したような表情で「あ、ああ、ありがとう。かけ直してみる」と、そのままケータイを持って別室に入っていきました。
「誰から電話かも見ないで、別室に行くなんて。ここでかけ直せばいいのに…」
ますます、私の不信感は募るばかりでした。
この電話の件も普段の私ならならば
「誰から?」
「なんでここでかけ直さないの?」
などと問い詰めてしまっていました。しかし今回は探偵事務所の指示もあり、あえて今言葉をグッと飲み込んだのです。
「問い詰めたい」「証拠を掴んで突きつけてやりたい」など、とにかく「白黒つけたい」とタイプの私。しかし、確固たる証拠がないまま口論になってしまったら、かえって夫を警戒させてしまい調査にも影響が出るかもしれないと探偵事務所の担当者から言われました。そこで
「まず、相手を泳がせて証拠集めに専念しましょう。何も気付いていないふりをすることが一番大事なのです」
という探偵事務所のアドバイスに従って、しばらく私は夫の不審な行動にも徹底して気がつかないふりをすることにしたのです。
そして、探偵事務所に依頼をしてから2週間後、いよいよ調査結果を聞く日がやってきました・・・。
ついに夫の浮気の詳細が発覚!その結果は?

探偵事務所での報告を聞いた結果
探偵事務所に調査を依頼して約2週間後。調査の結果がまとまったとの連絡を受けて、私は事務所に報告を聞きに行くことになりました。
「こちらが調査報告書です」
探偵事務所の担当者に手渡された資料に目を通すと、結果は分かっていたのですが、夫はやはり真っ黒だったのです。浮気相手も予想通り同じ病院に勤める看護師でした。
当直と言っていた日は、夫は夕方には病院から出ていて、病院からほど近い繁華街でその女性と会っていたり、時には車で彼女の家に行ったりしていました。
私が思っていた以上に2人の関係は進んでいたようです。報告書の中には、夫と女性が楽しそうに並んで歩く様子のほか、ホテルへと入っていく様子が撮られた写真もありました。
写真に映った、女性と一緒にいる夫の笑顔を眺めながら、私はぼんやりと
「最近こんな笑顔の夫、ほとんど見たことないかも。私たち結婚生活を無理矢理続けていく必要ないのかもしれないな…」
と思ってしまいました。
今回の調査では期待していた以上の成果がありました。やはりプロに頼んだことは間違いなかったようです。
私一人の力では、ここまで確実な証拠をつかむまで追いかけられなかったでしょう。とにかく私は離婚を有利に進め、慰謝料なども請求できるように、夫と浮気相手がホテルに出入りする写真のような動かぬ証拠が欲しかったのです。
夫の浮気現場だけでなく、依頼する際に頼んでおいた、相手の女性の素性についての報告も受けました。
彼女は20代前半の若手の看護師で、夫と同じ科に所属していました。彼女の勤務態度はいたって真面目とのことでした。進学で上京してきてから、そのまま都内で一人暮らしをしているといいます。
浮気相手の彼女は容姿もいたって普通な、今時の若い子にしては少し地味なくらいでした。お世辞にも美人とはいえないタイプの子でした。
「なんでこんな子と浮気を。さては夫は遊びじゃなくて、本気なのかしら?」
という考えが、私の頭に浮かびました。
正直なところ、少し派手で遊んでいそうな女の子が相手のほうが、夫との関係も遊びということで割り切れたのですが、意外なタイプが相手だったことが判明し、拍子抜けしてしまった気分でした。
浮気発覚後、夫との関係に悩んでしまう
相談に乗ってくれていた友人に早速報告したところ、最初こそ驚いていたものの「やっぱりね!」と彼女は言いました。そして、「それで、りょうこはこれからどうするつもりなの?」と続けました。
「うーん。どうするかはちょっと考えようかな」
私は少し考えて返事をしました。
なぜなら、私は最初こそ、今後夫と激しい口論になったり、暴力を振るわれたりするようなことがあって、「離婚したい」と本気で考えた時に自分に有利に話が進むような切り札として、今回の調査をお願いしました。しかし、あの、調査報告書の楽しそうな夫の笑顔の写真を見たら、なんだかもうどうでもよくなってしまいました。
「結婚生活をこのまま続ける意味ってあるのかな。無理矢理続けようとするから、だんだんお互いにズレが生じてきてしまって、それがストレスになっている気がする」
と考えるようになったのです。それに、
「だいたい、私の収入だけでも娘は育てることはできるし、私の人生に夫は本当に必要なのかしら。もしかして夫も私がいない方が幸せになれるんじゃないのかな」
と思いました。そして夫は現状の結婚生活をどう思っているの、これからどうしていきたいのかという夫の意見も聞いてみたくなったのです。
そこで、私は思い切って夫に今回の浮気の件を尋ねると同時に、離婚を提案してみることに決めました・・・。
夫と全面対決へ!

浮気調査の結果を見て、青ざめた夫
夫と2人できちんと話し合いができるタイミングを私は探っていました。そしてついに、夫と私の休みが一緒になった日に、私は夫にすべてを打ち明けることにしました。
「ちょっと話があるんだけど、いい?」
私が神妙な顔をして話しかけたからか、夫もただならぬ雰囲気を察してか、少し身構えるように向かい合ってダイニングテーブルに向かい合って席に着きました。
「これを見て欲しいの」
調査報告書を差し出すと、夫の顔色はみるみるうちに青ざめていきました。
「ごめん…」
こんなに素直に謝罪の言葉を口にする夫を見るのは初めてでした。
そこから私はまくしたてるように、
「いつから関係が続いていたのか」
「これからも関係は続けていくつもりなのか」
「あくまでも遊びなのか、それとも本気なのか」
「今後どうしていきたいのか」
など、夫を問い詰めました。
今まで心の中でためていた分、スイッチが入ってしまったのか、私は、今回のこの夫の浮気を追求するだけでなく、今まで夫が家事や育児に非協力的だったこと、過去の暴力、暴言などについても不満を爆発させてしまったのです。
「あなたは仕事、仕事と家庭を顧みず、自分勝手に生きていきた。その挙げ句、若い看護師に手を出すなんて! 一体家族をどう思っているの? 私は家政婦じゃないし、ましてやあなたの母親でもないの! 好き勝手生きたいなら、一人になればいいじゃない!」
私の言葉に夫はがっくりとうなだれ、終始謝り続けていました。
「女性からの猛烈なアプローチを受けて断りきれなかった」
「浮気をしたのは今回が初めて」
「すぐに関係を辞めるつもりだった」
「もう二度とこういうことはしない」
夫の言い分は、浮気をした男の人が言う常套句ばかりでした。そして、
「君も娘のこともとても大事に思っている。離婚は絶対したくない」
こう言いました。
まさか夫が関係修復を希望してくるとは思っていなかった私は、この言葉にはとても驚きました。
私は延々と言い訳をする夫を目の前にして、今まで以上に夫が情けなく、とても小さな人間に見えてしまいました。そして、そのことがより一層、夫への気持ちが冷めていくという皮肉な結果になりました。
終始、私が冷ややかな目で夫を見つめていたことも、夫には相当こたえたたようです。
しかし、離婚をしたい私と関係修復を望む夫ではそれ以上の話し合いができず、一旦、日を改めて話し合う事になりました。
関係修復を望む夫の変化
私は夫が関係修復を望むと思っていなかったので、このように話し合いが進まなくなるなんて全く予想もしていませんでした。
浮気の証拠を突きつけて以降、夫は帰宅時間が早くなったり、家事を積極的に手伝ってくれようとしたり、娘と過ごす時間を意識的に増やすように努力していました。また些細な事で口げんかをすることもなくなり、夫の暴言や暴力、イライラして物に当たるようなこともなくなりました。
私が仕事で帰宅時間が遅くなったり、緊急で出なければいけない時なども、私の代わりに娘の保育園の送り迎えを引き受けてくれたり、以前では考えられないほど、育児にも協力的になったのです。
こういった夫の変化に最初こそ、
「何よ、白々しいんだから。そうやって取り繕うとしてもムダなんだから!」
と私は思っていました。
しかし、休みの日も家族3人で過ごす事が増え、自然と家の中の雰囲気も明るくなったことで、娘の笑顔が増えていくのを見て、
「夫も反省しているようだし、こうやって努力もしてくれているし。無理矢理に離婚に向けて話し合いをする必要もないのかな…」
私はそんな風に考え始めていました。しかし、その時にある事件が起きたのです・・・。
執拗な嫌がらせに悩む日々、犯人は一体・・・!?

謎の嫌がらせが私を追い詰めていく
離婚問題は遅々として進まないままでしたが、浮気が発覚してからというもの夫の態度は大きく変化しました。
「このまま離婚しなくてもよいのかもしれない……。娘も夫と一緒に過ごす時間が増えて喜んでいるし…」
と考えていたころ、急に自宅に無言電話がかかってくるようになったのです。
「もしもし? どなたですか?」と尋ねても、無言のまま。
そのあと10秒ほどの沈黙の後、一方的に向こうから電話を切られるというパターンです。
その頻度も最初は数日に1回ぐらいだったので、あまり気にしてはいませんでした。しかし、そのうちに一日に何度もかかってくるようになりました。
電話に出てもすぐに切られる、ということもあり、最初こそ気味悪がっていた私でしたが、無言電話が続くことでだんだんイライラしてくるようになりました。
「最近、無言電話がすごくって、最初は数日に一度ぐらいの頻度だったのに、今日なんかもう4回もかかってきて気持ちが悪いの」
夫に相談しましたが、「もう無視したらいいんじゃない?」とあまり気にしていない様子でした。
固定電話をナンバーディスプレーにするなど、嫌がらせの電話を回避するようになると次はワン切りが続きました。ひどい時には、1日に50回以上のワン切りが続いたことがありました。
「一体なんだろう。気持ち悪いな。ケータイだけで用は足りるし、固定電話は解約しようかな」
そう思った私は極力ケータイしか使わないようにして、過ごしていました。
すると、今度はケータイにまで非通知や公衆電話から、頻繁に電話がかかってくるようになったのです。それだけではなく、PCのメールに知らないアドレスから嫌がらせの内容のメールも届くようになりました。
ほとんどが私個人に対する攻撃でした。本当に気味が悪くなった私は警察に相談する事も考えました。
しかし、大ごとにすることで、「娘にも何か危害を加えられたら」「職場にも影響が及んだら」と踏み切ることができず、精神的に相当追いつめられていました。
「本当に怖くなってきた。夫に相談してもまともに取り合ってくれないし。もうちょっと一緒に真剣に考えてくれてもいいのに」
と悩む私に、楽観的な言葉しかかけない夫には不信感が募っていきました。
浮気相手からの挑発か!?
そんなある日、友人に夫との離婚問題の現状報告をすることも兼ねて、夫が家を空ける日を見計らって、久しぶりに友人を我が家に招くことになりました。
友人とのおしゃべりに夢中になっていた、その時、またも固定電話と携帯に立て続けに非通知からの着信がありまた。いつも通り無視をしていると友人に「どうしたの? なんで取らないの?」と聞かれたので、最近、変な電話が頻繁にかかってくることと、迷惑メールに悩まされていることを伝えました。
「え、それもしかして、その浮気相手からなんじゃないの? よくドラマとかでもあるじゃない! 浮気相手が妻に嫌がらせをしたくて無言電話をかけるっていうの」
すると友人はこう言ったのです。
確かに友人のいう通り、不倫相手の自宅に執拗に無言電話をかける嫌がらせをするというのは聞いたことがあります。仮にそうだとすると、無言電話が始まったタイミングなどもすべて合致がいきます。
「きっと夫が別れ話をして、その腹いせに無言電話をするようになったのかも。夫はきっとそのことも感付いていたから、あんな態度だったのか」
夫がまともに取り合ってくれず、私を守ろうとしてくれなかった事に対しての怒りが湧いてきました。
「もう許せない! 家族を守ろうとしない夫なんていらない!」
私は本格的に離婚調停の準備をすることに決めました・・・。
本格的に離婚調停へ動き始める

無言電話の犯人がついに判明
執拗な嫌がらせの犯人が浮気相手であることに気がつきながらも、家族を守ろうとしなかった夫にほとほと愛想がついた私は離婚調停を起こし、夫との離婚に向けて本格的に動き始めました。
それと同時に、「この嫌がらせ問題も解決しないと」と思い、夫にはっきりと私が嫌がらせの犯人は浮気相手の女性ではないかと疑っていることを言うことに決めました。
そう決意したタイミングで、またも非通知から着信がありました。そこで私は思い切って、その電話に出てみることにしたのです。
「もしもし、どちらさまですか?」
私は平静を装いながら、できるだけ落ち着いた口調で話すように努めました。
案の定、相手は無言のままでした。
そこで私は一方的に電話を切られる前に「夫にかわりましょうか? 」と言いました。
すると電話口の向こうで少し慌てたような雰囲気を感じました。
「もう気付いていますよ、職場にも連絡しておきますからね」
と畳み掛けたところ、ガチャンと切られてしまいました。
「やっぱり思った通り、あの様子だと浮気相手で間違いなさそう」
この時、私はこれまでの数々の嫌がらせは浮気相手からの挑発であるということを確信したのです。
衝撃! 浮気相手とまだ関係が続いていた夫
夫が帰宅して早々に「嫌がらせのことで、ちょっと話があるんだけど」と私は切り出しました。
その私の態度に夫は浮気調査の結果報告を突きつけたときのような、ただならぬ雰囲気を察したようでした。
「私、あの嫌がらせの相手はあなたの浮気相手だと思っているの。あなたも薄々気付いていたんでしょう?」
私は単刀直入に切り出しました。続けて
「まだあの子と続いているの?」
と尋ねました。
「ごめん…」
実は夫は私に浮気を問い詰められた後、一度は相手に別れを切り出したものの、女性に押し切られるかたちでその後もずるずると関係を続けていたのです。
しかも、夫は私が最近不審な無言電話が多いと訴え始めたころから、これは浮気相手の仕業だと気付いていました。彼は浮気相手に無言電話を辞めるように再三説得したそうです。しかし聞き入れてもらえず、どんどんエスカレートしていくのも黙って見ていることしかできなかったと言いました。
さらに、あろうことか、浮気相手は夫に対して、
「別れるのであればこの関係を病院内にバラしてやる」
と半ば脅しのようなことを言っているということで、夫は彼女に対して強く出られないというのです。
「情けなすぎる。そんな地雷女に捕まるなんて、信じられない。しかも、やっぱり犯人を知りながら、私があれだけ参っているのを黙って見ていたなんて許せない!!!」
ここで私の夫への怒りは最高潮に達しました。そして
「わかった。やっぱり別れましょう、私たち。そんな浮気相手をかばうような人とはもうやっていけないわ」
と、はっきりと離婚を切り出しました。
そして離婚調停に向けて私は弁護士に依頼すること、さらに、今回の執拗な浮気相手からの嫌がらせはあまりにも悪質なので相手を訴えさせてもらうと言いました。さらに「あなたと浮気相手の両方に慰謝料も請求するから覚悟しておくように」ということも伝えました。
「ごめん」
「もう次こそは本当に別れる」
「君には悪い事をした」
「本当に申し訳ない」
「全部僕が悪い」
夫は謝り続けていました。しかし、彼の謝罪の言葉すらもう私の耳には入ってきませんでした。私は軽蔑と怒りをもって夫を眺めていました。
「せっかく再構築も考えていたのに、今度の事は本当にありえない! なんとしてでも、2人から慰謝料をとってやる」
かつてない憤りを感じながら、私は娘と一緒に家を出て一時的に実家に身を寄せる事を決めました・・・。
いよいよ離婚成立! 慰謝料を勝ち取る

別居成立後、離婚調停の準備をスタート
夫との最後の話し合いを終えた直後から、不審な電話も、迷惑メールもぴたりとやみました。私にはまた平穏な日々が戻ってきました。
「よし、これからは娘と2人で頑張らないと!」
決意を新たに、私は、実家に娘と2人身を寄せながら、着々と離婚調停への準備を進めていました。
今度こそ夫も関係修復は難しいと覚悟を決めたのか、「僕が本当に悪かった。君の好きなようにするといいよ」と言いました。私はいよいよ離婚に向けて動き出したのです。
そのころは仕事と育児に加え、調停の準備、娘と2人で暮らすための新生活の準備などすべてを並行して行っていたため、睡眠時間もあまりとれず、体力的にはキツい部分もありました。
しかし、それよりも、「夫とこれでいよいよ離婚できる!」という解放感でいっぱいでした。そして「やはり、なんだかんだ、夫との結婚生活は無理をしていた部分が多かったのかもしれないな」と、この段階になって初めて気がついたのです。
「 “バツイチ”に抵抗はあったし、今後も不安じゃないとは言い切れないけど、夫との生活のストレスから解放される事がこんなに楽になるなんて」
離婚というゴールが見え始めてきた途端、私は精神的にずっと楽になり、仕事にも今まで以上に打ち込めるようになりました。
夫と浮気相手、両方から慰謝料を勝ち取る!
幸いにも浮気調査を依頼した探偵事務所にお願いして、離婚問題に強い弁護士の先生を紹介してもらうことができました。
弁護士と相談しながら、財産分与についてや娘の親権、養育費のこちらからの希望を固めました。
私が「今回の件でひどく精神的に消耗したので慰謝料を2人から取りたい」と相談すると、弁護士の先生は浮気現場を押さえた証拠がそろっているということ、嫌がらせのメールなども残っているので、夫、浮気相手それぞれに請求できるだろうと言ってくれました。
調査費用や弁護費用などでなんだかんだお金がかかっていたので、正直、それぞれに慰謝料を請求できそうだということが分かってホッとしたのを覚えています。
ここまできたら、もうあとは弁護士に任せで事が進んでいきました。
弁護士経由で
- 金輪際、夫とは仕事以外では必要以上に接触しないこと
- 慰謝料を支払うこと
この2点の内容を記載した文章と証拠の写真を同封し、内容証明郵便を女性の家に送りました。
私は「この離婚によって、病院内での夫の立場が危うくなるような事にはしたくなかったので、職場にバレないよう、内密に進めたいと思っているからこの条件を飲んでくれないか」という旨の文章も相手への内容証明の書面に加えました。
私のほうが社会的な立場が上であること、弁護士も立てて用意周到に段階を踏んで接触してきていることに相手は相当な心理的プレッシャーを感じたのか、浮気相手はあっさりと私の要求を受け入れ、慰謝料の支払いにも応じてくれました。
夫は「全面的に私の希望通りに応じる」ということで、親権や養育費、家の権利などでもめることなく、すべて話し合いで決着がつきました。
調査費用や弁護士費用など、諸々のお金はかかりましたが、私も仕事があるので離婚問題にかかりっきりになることは絶対に無理でした。だからこそ探偵事務所や弁護士に全面的にサポートしてもらえたことはありがたかったと思っています。
離婚が成立してからというもの、周囲から「明るくなった」や「笑顔が増えた」など、口々に言われるようになり、職場でも患者さんたちからの評判がよくなり、なんと昇進も決ましました。
今では娘と2人、リスタートすることができたと充実感でいっぱいの毎日を送っています。